こんにちは!インターン生の岡田です!
現在、Instagram API認証済みの『タグライブ』というツールの販売に携わっています。
しかし、「そもそもAPIって何?」というぐらいの知識でしたので、今回は弊社の岡安淳司 代表取締役にインタビューをしました! 初歩的な質問もありますが、実際に審査を経験した方の具体的な体験談ですので、ぜひ最後までお読みください!
■そもそもInstagram APIとは何ですか?
岡安:
簡単にいうと、Instagramの投稿などのデータを外部のサイトが引用して使うことができる仕組みのことです。2016年の6月までは誰でも自由に使うことができましたが、それ以降は仕様が変わり、認証を通した企業しか使えなくなりました。
■メリットや役に立つことはどんなものがありますか?
岡安:
APIの審査を通らなくてもSandboxモードというお試し的なものがありますが、利用できるのは自分自身を含む10人のユーザーの最新20件の投稿のみで、それ以外のアカウントや過去の投稿からはデータを引っ張ってこれません。1時間あたりの利用回数の上限も500回に制限されていて、本格的なサービスには全く不十分です。
しかし審査を通していれば、特定のハッシュタグのついた写真つきの投稿データを抽出でき、位置情報タグでの抽出などもできるので非常に活用の幅が広がります。国内でもAPIの審査を通している企業はそこまで多くありません。
理由としては『単独での利用目的』では審査が通らないからです。
1社のWebサイトに掲載するのみ、1回のキャンペーンに利用するのみの目的では、どんな大企業でも審査は通らないと思います。『複数の企業やユーザーがログインして使えるサービス』が望ましい、と英文の説明にも書かれています。
■審査を通すことは難しいんでしょうか?
岡安:
一回で通ることは本当に稀だと思います。アーガイルは3ヶ月で7回落ちましたからね(笑)
落とされる理由が明確に回答されないので自分で何が悪かったのか考えて総当たり式で改善するしかないです。
その上で考えるべき点としては、Instagramの利用規約に反しないか?ユーザーの利益になっているか?ということです。またInstagramのサービスと似過ぎているもの、すでにある機能は基本的に通されないですね。Instagramのビジネスやエコシステムをより盛り上げてくれるようなサービスであることも必要だと思います。
■審査を通過させるアドバイスやポイントはありますか?
岡安:
案件ごとに異なりますし、これをやれば審査が通るとは断言できません。
先が見えない作業なので、数ヶ月のスケジュールを確保して腰を据えて取り組みつつ、同時に審査が通らなかった時の対応策も想定した方がいいです。
以前、APIの審査を通してくれたら10万円というクラウドソーシングの案件を見かけましたが絶対に見合わないですね(笑)
まず、最重要なのは定められたユースケース(システムが提供するサービスの目的や仕様)を守ること。Facebook社が認めているInstagram APIのユースケースは、下記の3つだけです(以下は、岡安による日本語訳)。
1.個人ユーザーが、自身のコンテンツをサードパーティーのアプリに共有することを助けるアプリ。
2.ブランドおよび広告主が、広告の受け手やメディアの著作権について理解し、管理することを助けるアプリ。
3.放送局や出版社が、コンテンツを発見し、デジタル利用権を取得し、適切な権利帰属関係でシェアすることを助けるアプリ。
これらのいずれかに当てはまるアプリ以外は、全て申請を却下されます。まず申請文では、APIで得られる個々のデータを誰がどのように利用するのか、それはなぜAPIの適切なユースケースに当てはまるのか、Instagramのユーザーにとってどんなメリットがあるのか、を徹底的に明確にすること。
また、ユースケースと同時に提出が必須となっているアプリの紹介ムービーも重要です。
サービスのコンセプトの説明、アプリのログイン画面から各ページの個別機能、実際の利用シーンに至るまで、全てのサービス内容や機能ができるだけ詳細に伝わるように動画や文章を作り込むことが重要です。やはり、最終的なポイントとなるのはInstagramのユーザーやFacebook社にとって、マイナスではなくプラスになるサービスであるということを、はっきりとプレゼンすることが最重要かと思います。
ただ、繰り返すようですが審査の通過は非常に難易度が高いです。自力での特許や商標の出願・登録の経験が何度かありますが、その時の何倍も苦労しました。
数ヶ月頑張っても通らなかった時のリスクを考えて、弊社のようにツールを持っている企業にデータ連携を依頼することも選択肢の一つに入れるのが良いと思います。
自社の主力事業としてInstagramのツールを開発するなら意地でも通すべきですが、単発のキャンペーンや自社サイトに口コミを載せたい、または店頭にあるデジタルサイネージに口コミを表示したい、というような単発の目的のために審査を通すことは効率的ではないと考えています。
■『タグライブ』の強みはなんですか?
岡安:
タグライブは、InstagramとTwitterから、ハッシュタグなどの条件で投稿を取得し、サイトに掲載する、多機能ウィジェットツールです。管理画面で掲載のオン・オフを管理することも出来ます。
タグライブの強みは以下の3つです。
①デザインや導入方法の自由度が非常に高い
②エクセルの形式で投稿データをダウンロードできる
③価格がリーズナブル
1つ目のデザインの自由度については、HTML、CSS、JavaScriptで実現できるものであれば、できないデザインはありません。でもInstagramのAPIの利用規約に反するデザインはやめてください(笑)具体的にはInstagramのロゴや引用元のユーザー名を明記するなどです。
簡単なHTMLのソースをページに埋め込むだけ表示できますし、よりカスタマイズしたい場合はCSSやJavaScriptの通常の知識があるWeb制作者であれば自由にカスタマイズできるレベルになっています。また、json形式での提供もできますので、Web サイトだけでなく、スマホアプリや、様々なシステム、デジタルサイネージなどとも、簡単に連携ができるように設計されています。
2つ目の投稿データのダウンロードは、キャンペーンやフォトコンテストで利用する場合に応募者の集計やそこから抽選などを行うことも可能です。これはオプションにはなるのですが画像URLリストの一覧、いいね数やコメント数、位置情報タグ、利用した画像フィルタの種類などの詳細なデータも取得できます。
3つ目の価格については、Twitterのクチコミ分析ツールのリリースは国内初(2010年4月)でしたが、タグライブは改善を重ね、自由度を高くするために時間がかかってしまい後発になりました。そのため価格で競争力をつけるためにもリーズナブルに設定しています。
また、サイトにクチコミを載せることによる購買促進に繋げるために長期で導入していただきやすい価格になりましたので、実際に年間のご契約もかなり多いです。
タグライブを導入されるお客様は様々で広告代理店やメーカーの他に制作会社からの人気も高いのが特徴です。というのは、制作会社がInstagramのキャンペーンをやります、と受注した後にハッシュタグを表示することができないと分かり、API認証済みのツールを持った企業を探して弊社にたどり着くようです。またカスタマイズをしなければ導入までの日数は2営業日で納品できますので、年度末の3月に入ってからギリギリの発注も多くありました。
■どういった企業がダグライブを使いやすいのでしょうか?
岡安:
Instagramのユーザーに効くものはビジュアルの訴求力が強いものです。例えばファッション・アパレル・美容・観光、または手に取れる商品があるメーカー、その場所に行って撮影できるお店やイベントには有効的ですね。商品の形がないクラウドのネットサービスや保険、証券、銀行などでは企画をしっかり考えて実施する必要があると思います。
最近ではアニメやゲーム業界の利用も進んでいて、リアルのコラボカフェなどのイベントと連動させるキャンペーンも非常に効果的だと感じます。
【参考】文房具カフェ×リトルウィッチアカデミア
■最後にひとこといただけますでしょうか。
岡安:
今は、ステマ(ステルスマーケティング)やキュレーションサイトの問題などで、企業側の意図で発信するコンテンツや広告が信頼されにくくなっている時代です。企業側が編集して作り込んだ『東京都の会社員Aさんの感想』のような「利用者の声」コンテンツもなかなか信用されなくなっています。
企業側がサイトに利用者の声を書いて載せるよりはソース元が確認できるSNS上のクチコミを引用してきて載せる方が信頼性がありますね。
クチコミを既存のファンの方に投稿してもらうきっかけとしてキャンペーンをすることで良質なクチコミが増え、それを定常的にサイトに掲載して購買につなげることは、ブランドの一つの勝ちパターンだと思います。
何かを買ったり予約する人の87.5%がクチコミを見てから行動を起こしているという調査結果があります。
つまり今後のマーケティングにおいては、どのように理想的なクチコミをしてもらえるかが非常に重要になってきます。
ヤラセではなく自然に自社ファンの方々が自主的にクチコミをしていただける環境づくりと、それが可視化されるような場を作ることが重要な課題になってくると思います。
岡安さんありがとうございました! APIの概要から審査を通過するためのアドバイスなど知っておくべき情報が満載でした! 審査を通過することはかなり難しいようです…。本気の覚悟で自社サービスを開発するのか、あくまで手段としてツールを利用するのかを選択しなければなりませんね。今後のマーケティング活動としてもInstagramやTwitterなどのSNSを利用していく必要性が高くなるので、SNS研では有益なコンテンツを皆さんにお届けできるようにインタビューしていきたいと思います!
2019年も利用可能なInstagramツール
Instagram投稿データの取得ツール「タグライブ」の詳細はこちら
※Instagram API審査通過済